【奈々の日常】第一話 再テスト

 

奈々は朝から不機嫌だった。


話は、昨日に遡る。

この日・・・。奈々は盛大に遅刻した。
遅刻事態は大した問題ではなかった。遅刻した日が問題だったのだ。

この日、奈々が苦手な歴史のテストが行われたのだ。抜き打ちではない予告されていた。それも、先生が前日に問題を提示してノート持ち込み可のテストだったのだ。奈々はすべての答えをノートに写して準備万端の状態にしていた。歴史の先生が、冬休み前に学校の都合で出張することになった為に、事前にテストが行われることになった。先生も赤点を出す生徒が居ると困るので、誰でも満点に近い点数が取れるテストを用意したのだ。

そのテストに奈々は盛大に遅刻したのだ。
奈々にも言いたいことがある。あるのだが先生に向かって言うことはできない。

(テストの答えをノートに書き写してから、調べたページにあったエッチな小説を読んでオナニーを3回もしたら起きるのが遅くなったなんて言えない)

奈々は、先生に心の中でそうつぶやいた。

「桜内!俺の話を聞いているのか?」

「はい。聞いています。先生。ごめんなさい」

奈々は、先生に素直に誤った。誤ったが、オナニーの回数は3回ではない。中断を挟むと2時間くらいを触っていたことになる。彼氏と別れたことも影響して欲求不満だったのだ。最初は宿題が終わってテストの答えをノートに書き写して安心してしまって、少しだけムラムラして触り始めたのだ。久しぶりに直接触ってすぐに絶頂を迎えてしまった。そこで終わっていればよかったのだが、調べ物をしていたネットで偶然見つけた違うエロ小説が気になってしまったのだ。主人公の名前が自分と同じだったのも影響した。そしてシチュエーションの設定が好みだったこともあり自分で触りながら小説を読み進めてしまった。小説は奈々が考えている以上に長編になっていた。そのために、奈々は濡れるマンコを触りながら2時間に渡って小説を読んでしまったのだ。
朝になっても降りてこない奈々を心配して普段よりも2時間ほど遅くなってから母親が奈々の部屋に来た。ドアをノックする音で目が覚めたときには、パンツは片足の足首にあり、足を大きく広げてマンコにペンを入れてクリを触っていた。椅子には、粘度のある汁が付いている。指も触り続けたのだろうまだ湿っている。
急いで指を拭いて返事をしていつも履いている黒のパンツをタンスから出して履いた。ご飯も食べないで飛び出したのだが、一時間目には間に合うはずもなく昼前に学校に付いた時には歴史のテストはすでに終了していた。

「はぁまあいい。桜内。明日のテストが終わってから再テストと特別授業をやるからな」

「え?明日?」

「そうだ。放課後だ。いいな。明日だぞ!俺、明日のテストが終われば出張・・・」

「それなら!」「ダメだ!明日やらないと桜内!お前の歴史の評価が赤点になって、冬休みがなくなるぞ!進級もやばいぞ!」

「え?」

「わかったな。わかったら、明日の放課後、自習室に来い。待っていてやる」

「先生。どのくらいで・・・」「お前次第だ。テストは同じ物を用意する。それ以外に桜内が得意な戦国と江戸時代と西洋史を中心にテキストを用意する」

「はい。わかりました。自習室は、何番ですか?」

奈々の学校には、自習室と呼ばれる部屋がある。
少人数で勉強をする為の部屋で、2-3人で使うことを想定している部屋が3つ。4-5人で使うことが想定している部屋が5つだ。大きい部屋は部活などで使われることが多いので、空いているのは小部屋が多い。

先生は、端末を操作して空いている部屋を見ている。

「全部、使えるが大きい部屋は荷物が置いてあるようだな。そうだな、2番の部屋にしよう。少し暗いが暖房が付いている部屋だからな」

「わかりました。放課後に2番に行きます」

これが昨日の出来事だ。
今日が放課後に自習室に行かなければならない。

悪い事は重なる。生理不順が続いていた奈々は産婦人科で処方された薬を飲んでいる。体に合わないのか時々気持ち悪くなってしまうことがある。丁度、今日が気持ち悪い日にあたってしまったのだ。気持ち悪くなると、無性にのどが渇いたり、なにか食べたくなったり、飲んでいる薬から連想してしまってムラムラすることが多かった。気持ち悪くなったときに少しでもムラムラしたらエッチなことをすると気持ち悪いのが少し落ち着くことがある。

そして間が悪いことに、今日は12月7日の土曜日だ。本来なら休みになるはずなのだがテストのためだけに学校に行くことになっている。
それだけではなく、奈々が選択した科目は午後にテストが行われるが一時間だけで終わってしまう。後ろに2時間の空きができてしまうのだ。先生が放課後と言っているので、奈々は全部のテストが終わるまで待っていなければならない。

ここまでは不機嫌になっていることを理解しつつも自分で引き起こしたことなので、割り切ることができた。

朝の教室で友達と交わした会話で不機嫌の度合いがましてしまった。

「奈々!試験が終わったら遊びに行くよね?新しくできたカラオケで由美がクーポンもらってきて何人でも2時間まで無料だって!」

「え!本当!もちろん!行く・・・。あぁダメ・・・。補習がある」

「増田ちゃんのやつ?」

「そう・・・。テストを受けなかったから補習だって」

「ご愁傷さま。でも、テストだけ?それなら後から来ればいいよ」

「うーん。テストの後で別のテキストをやらないとダメみたい。進級がかかっているから真剣にやるよ」

「ハハハ。わかった。終わったらメッセ頂戴」

「了解!」

これが、テストが始まる前に奈々と友達が交わした会話なのだ。
テスト期間中は、部活は全面禁止になっている。友達も部活が休みなので、奈々を誘って遊びに行こうと思っていたのだ。

午前中のテストと選択教科のテストを終えた頃には、奈々の機嫌も良くなっている。昼は気持ち悪くて食べることができなかった。お腹は減っていたのだが食べたい気持ちにならなかったのだ。食堂で補習のことを話したら食堂のおばちゃんにジュースを奢ってもらった。友達からも餞別だと言われてジュースを飲まされたのも影響しているのかもしれない。

選択教科のテストが終了したので、奈々は職員室に顔を出すことにした。
もしかしたら早く始められるかもしれないと考えたのだ。

「お!桜内!どうした?」

奈々が職員室の入り口でキョロキョロしていると先生が先に奈々を見つけて声をかけてきた。

「あ!先生。今日のテストが終わったので、再テストをお願いしようと・・・」

「そうか、悪い。俺は今から2時間。監視員をすることになっている。そうだ!実習室の鍵とテストを渡すから、先にテストだけでもやっておけ!」

「わかりました」

少し落胆した奈々だったが、先生から実習室の2番と書かれた鍵とテスト用紙を受け取った。
もともと持ち込みありのテストだったので、監視する必要がなく、奈々だけでもテストが始められる。先生がテストの監視に行っている間にテストだけでも進められるので時間が多少短縮できるのだ。

奈々は、そのまま自習室がある校舎に向かった。
文化部が使っている古い校舎で奈々たちの卒業と同時に建て直すことが決まっている。一部だけ鉄筋コンクリートで補強されているのだが県が定める耐震試験に合格することができなかった。空調をつけたりして使いみちを考えていたのだが、正式に建て替えの指示が出たのだ。
旧校舎と呼ばれていて、ドアが空きにくい状態になったり、音が響いたり、電気が消えることもある。文化部が部室や活動場所と使う以外は先生も生徒も来ることはない。旧校舎と新校舎の間にはサッカーコートやテニスコートがあるだけで、周りには高い建物がない。旧校舎の屋上には国旗を掲揚するポールが立っているだけなので屋上に出る扉は施錠されている。

まだテストが行われている時間なので、グランドに出ている生徒は居ない。
奈々は静かな旧校舎に入って、実習室がある4階に急いだ。旧校舎の床は木材が使用されていて古くなった部分があり歩くと軋む音がなる。補強されていると言っても怖いと感じてしまうのはしょうがないことだと思える。
いろいろ問題はあるのだが、旧校舎には大きな問題がある。特に、4階のトイレは男子が使う小便器のトイレしか用意されていないのだ。もともと、旧校舎は男子生徒用の校舎だった為に小便器だけが取り付けられていた。女子トイレは、グラウンドと共通で使う場所にしか用意されていなかったのだ。補強工事のときに、1階部分に女子トイレを作ったのだが個室の数は多くは用意されなかった。また女子トイレの位置も1階の一番奥になってしまっている。

(自習室にはいっちゃえばいいけど・・・。旧校舎は暗くて怖い)

奈々は、怖いと思いながら4階の奥に進んだ。
自習室は奥から番号が振られている、2番の部屋は奥から二つ目だ。空調が付いている部屋が、1番と2番だけで、1番の部屋はドアが少しだけ空いている状態になっているので冬と夏は使われることがない。

奈々は渡された鍵を使って部屋に入った。普段から使う人が少ない部屋なので、少しだけカビ臭い匂いがした。
持っていたカバンを入り口の近くにあるロッカーに入れる。ロッカーには鍵が付いているので、盗まれないようにする為だが今日は自分と先生だけが使うので鍵は必要ないと考えた。少し寒いのを我慢して、窓とドアを開けて空気の入れ替えをする。空調もすぐには効いてこない。自習室には、机が3つと椅子が3つとロッカーが3つあるだけだ。ロッカーの中にはハンガーがあるのでブレザーの上着やコートをかけておくことができる。

(うん。カビ臭い匂いも無くなったし、窓とドアを閉めよう)

奈々は、窓とドアを閉めて空調を強めた。暖かい風が足元を撫でるように流れる。

(よし!テストだけでもやっておこう!)

奈々はロッカーに入れたバッグから歴史のノートと筆記用具にしているペンを取り出した。

30分後。
テストは問題なく埋めることができた。

そして、程よい暖気と朝から受けていたテストでの疲労。昨日の夜に読んだエッチな小説。そしてまたしてしまった自慰行為。
それらが重なって、奈々は抵抗できない睡魔に襲われた。

抵抗したのは2分ほどだけだ。すぐに奈々は夢の世界の住人になった。